科学と非科学の接点

過敏性研究所は保険外・自由診療です

保険診療と保険外診療の併用について
※ 厚生労働省により保険診療との併用が認められている療養(治療)

(1) 十勝むつみのクリニック「保険内・予約診療」(火曜日~土曜日)

  •  保険外併用療養費においては、選定療養として「予約診療」が認められています。
  •  十勝むつみのクリニックではカウンセリングを重視しており、保険診療は「ひと枠15分」に設定しています
  •  相談内容が複雑で15分枠で収まりそうにない場合には、予約診療として予約していただき、「予約診療費」を「保険診療費」に追加して、受診後にいただきます
  •  予約診療費:15分追加(2750円)30分追加(5500円)45分追加(8250円)
  •  15分枠で予約し、診療時間が15分以上に延長した場合は、予約診療費に該当しないので、追加料金はいただきません
  •  医師による電話相談は、電話診療費(3割負担で220円、1割負担で70円)(処方料は別料金)

(2) 過敏性研究所「保険外・自由診療」(カウンセリング)(日曜日、月曜日)※問合せ→ mutsumino2016@gmail.com

  •  選定療養として「休診日」「クリニック外」「保険外」でのカウンセリングが認められています。
  •  電話や対面やZOOMでの診療を行いますが、保険診療のような投薬や診断書の発行はできません。
  •  料金は、あらかじめ「設定された料金」にて行い、実施後に治療者に支払うか振り込みしていただきます。
  •  費用:30分まで(7500円)・60分まで(10000円)・120分まで(15000円)

講演活動

YouTubeチャンネル

設立経緯

文責(長沼) 令和5年1月23日(長沼)

Supersensitivity Research Institute(SRI)

過敏性に関する学習

  • 令和3年の3月に拙著「敏感すぎる人のいつものしんどい疲れがすーっとラクになる本」(永岡書店)において慢性疲労症候群について難しい内容を盛り込んで書いた。
  • その後、中高生向きにその内容をやさしく書き直して出版する予定であったが、この2年間に新型コロナ感染症の病態解明が全世界的に進むとともに免疫学についての知識がかなり膨らんだ。
  • 外来診療において敏感すぎる大人や子ども(HSP/HSC)の患者におけるアレルギー疾患にも目を向けるようになり、アレルギー学会に入り多くの講習会で学んだ。
  • コロナ禍にあってオンラインでの学会参加が可能となったことから、心療内科学会や自律神経学会や感覚フロンティアシンポジウムなどにも参加して最先端の知識を得た。
  • さらに、新型コロナ感染症のワクチン接種に反対する有志医師の会に所属したことで、基礎や臨床のさまざまな分野の講演を拝聴できた。
  • NHK高校通信講座の基礎生物学やNHK放送大学の神経基礎講座の受講を通して、細胞や遺伝子レベルでの最新の知識をおさらいした。

複数の診療科を渡る

  • 勉強を重ねるうちに、初回の簡単な内容の文章に満足できなくなり、何度も原稿を大幅に書き直すことになり、出版社の方々には大変迷惑をかけることになった。
  • 私が、脳外科・神経内科・神経性化学・児童精神科・成人精神科・心理療法と、神経学・精神医学・神経科学・トラウマ学の分野を、押し出されるように橋渡ししながら勉強してきたのは、初めから意図したものではなく、それぞれの分野での挫折を味わいながらの過敏性についての探索の道だったのかもしれない。
  • 令和4年末にクリニックと併設して立ち上げた物販やカウンセリングを行う「研究所」の名称も、HSP→カタカムナ→慢性疲労→過敏症→過敏性と変遷し、ようやく開設にいたった。

私の性格・性質・特性

  • 理数系が得意で直観が苦手な左脳人間で育ったが、36歳での至高体験からは右脳も活性化し両脳型になった。それでもアスペルガー症候群・注意欠如多動症・学習症・相貌失認などの神経発達特性は変わらなかった。
  • ユング派の性格分類(MBTI)では、HSPではよくみられる内向・直観・情緒・柔軟の特性を持つ芸術家タイプに該当し、理想・信条・秘めた情熱を持つ、心の平和を求め胸の内に情熱を秘めた芸術家であり、集団に群れず頑固で思い込みも激しいのである。
  • 決して優秀な頭脳を持っているわけではないのに、心から沸き立つように新奇な事実を求めてやまない私の性質は、感覚処理過敏性(HSP特性)と新規刺激追求性(HSS特性)が合わさった刺激追求性を特性として持つ感受性が強いとても繊細な人(HSE特性)である。
  • 科学的な志向が強い一方で、信仰する母親のもとで育ったためもあり、幼いころから霊的なことに触れながら、スピリチュアルに興味を持ち、惹きつけられるようにさまざまな書物や人や信仰と出会ってきた。
  • とくべつ霊感があるわけではなく、いつまでも思考優先で体感ができない頭でっかちな人間であるが、自身や患者さんの不思議体験をこれまで数多く経験してきた。
  • そんな裏の世界・非科学的な世界の体験も数多くしながら、一方で科学的探究もかかさなかった私だが、占いでは、科学と非科学を結ぶ使命があると知らされることが多かった。
  •  「見えない世界」に後押しされたのかもしれないが、「そうなんだ」と思い込んだこともあり、昨年末に「見える世界∞見えない世界」というテーマでYoutubeを作成し配信することにした。

見放された人たちを救う

  • もともと医者になった動機が、「水俣病」などの公害で苦しみ「世間から見放されて保護されない人たちを救いたい」という「沸きあがってくる思い」であり、なぜそのような思いに駆られたかは自分でも不思議に思う。
  • 「水俣病」は世界の公害の原点であり、最初の患者認定が私が生まれた年でもある。60数年を経た今、映画俳優のジョニー・デップが主演/制作した映画「MINAMATA」が令和3年に上映された。
  • 昨年、新型コロナワクチン接種により亡くなられた患者の遺族が厚労省職員に訴える会議のYoutubeを見た。虐げられた水俣の患者たちが政府の役人に対して怒号を飛ばして怒りまくる映画のシーンと同じであった。
  • 現在まで、多くの公害や薬害訴訟があり、「もう二度と同じことは繰り返さない」と宣言したはずの政府なのに、子宮頸がんワクチンや新型コロナワクチンの接種では、多くの後遺症患者を作ってしまった。大多数の国民を救うためなら多少の犠牲者は出ても仕方がないとでも言うのだろうか。

見えない疾患・・・機能性疾患

  • 世の中には、症状があり苦しんでいるのに、「理解してもらえない」「認めてもらえない」「医者でさえも知らない」「治すことができない」病気というのがある。検査しても明らかな異常が出ない、診断基準を満たさない、従来の疾患概念に当てはまらない病気なのである。
  • 昔から使われてきたもののその病態がよくわからなかった慢性疲労症候群・電磁波過敏症・化学物質過敏症・脳脊髄液減少症などがそうであるが、現在、これらの検査でも異常が見つからず原因がよくわからない病態を、西洋医学は「機能性疾患」という概念でとらえるようになった。
  • 5年前、めまいの国際学会であるBarany学会にて慢性めまいの原因として、PPPD (持続性知覚性姿勢誘発めまい)という新たな機能疾患の概念が定義された。気圧の変動に伴う頭痛や眩暈も、日本人の研究により原因解明され「天気病」「天気痛」と呼ばれるようになり、治療もしやすくなった。

世界は脳が作り出している

  • 今の医学や科学は、患者が主観的には感じているにもかかわらず科学的に証明・説明できないので、「信用できない」「信頼性がない」という。
  • 民間機関の一般検査ではわからないことも、研究機関で特殊な検査をすれば異常が見つかるのである。「ないのではない」「あるものはある」のだが、その手段をもちあわせていないだけなのだ。
  • もともとこの世界は、「人の意識とは別に客観的に存在している」というよりは「人の脳が無意識的・主観的に作り出している」ということを忘れてはいないだろうか。
  • 「見える世界」と同じように「見えない世界」も、「見えないけどある」「見ようとすればある」「見える人が見ればある」「見える手段があればある」のである。
  • 被害・加害問題もそうだが、「事実」はひとつだとしても「真実」は人それぞれにあり、それがその人の「現実の」社会を作っている。

内在人格と憑依人格

  • 統合失調症研究者である故中井久夫は、「治療文化論(精神医学的再構築の試み)」の中で、日本人のキツネツキ、アイヌのイム、沖縄のユタに見られる憑依性精神状態を「文化依存症候群」と名付け、全世界で共通に病気として定義されている「普遍症候群」と区別した。
  • 「見えない世界」に通じ、霊的な感性をもち、人に理解されない孤独な世界を経て、やがて現実に戻ってくる過程を、「パーソナルな病」「個人症候群」と呼び、「創造性の病」と位置づけた。
  • 精神科の日常診療において出会うそのような患者は、児童期逆境体験のトラウマにより自我が崩壊して作られた内在人格や憑依人格による解離性障害が多いが、一部は統合失調症的である。
  • 人格に操られて自我による抑制が効かない状態になれば薬物療法が有効で顕著に改善するが、本当の意味で回復できるのは家族や仲間に受け入れられ安心を得て現実に戻れる時なのである。

精神心理から神経免疫へ

  • 約20年前にエレイン・A・アーロン博士の提唱したHSP概念に出会い、そのような人たちを診療するなかで常に疑問に思ってきたのは、「感覚情報処理過敏性」「感覚処理感受性」「刺激増幅受容性」はどうして起きるのかということであった。
  •  医師になった動機が「水俣病」という神経難病にあり、そのために神経学を学んだ私にとって、「なぜ」という疑問は、その人たちの「生きづらさ」への関心とともに、そのメカニズムへの神経学的な理解と解明に私を向かわせた。
  • 2013年から発生した子宮頸がんワクチン後遺症患者の映像や研究報告をみて、「これは神経学的には説明できない」「精神症状、解離症状である」との印象をもった。
  • その後、黒岩・平井らの臨床研究報告や新たに提案された病態概念や、慢性疲労症候群の海外研究報告における病態議論など通して、心理的・精神的な症状だと考えてきた解離症状が、実は脳の器質的な異常に基づいているだろうことに私は気がつき愕然とした。
  • 神経内科時代に原因のわからない神経難病を数多く見てきたし、精神科時代も神経発達症を中心に診察してきた。それらが胃や腸内の細菌が作り出す物質や免疫反応に関係するだろうという研究報告を最近になって知った時にも驚きを隠せなかった。
  • これまでの自分が、神経や精神や心理や深層心理にばかり目を奪われていたことに気がつき、新型コロナウイルス感染症の研究のおかげで免疫学への興味や知識が広がったことを契機に、神経免疫学的な理解が一段と深まった。

ミクログリア共通病因説

  •  現在、神経免疫学を席巻している「ミクログリア共通病因説」では、「精神疾患は第一に免疫の疾患であり、脳内の基本的な免疫の健康状態の変化を反映する」と説明している。
    ・ 健康状態におけるミクログリアはニューロンとシナプスを育み、支え、神経伝達物質を補給してこれらを健康なレベルに維持している「善玉」として機能している。
  • しかし、ミクログリアが容赦ないストレス・トラウマ・感染症・病気・毒素など感じ取ったり、腸内微生物のアンバランスによって発せられた炎症性シグナルを受け取ったりすると、ミクログリアが「脳の救済者からシナプス殺害者へと変身」し、有害なサイトカインを放出するようになり「悪玉ミクログリア」となる。
  • それによって、神経伝達物質と成長因子の利用可能な量が変化し、それを受けて神経ネットワーク間の情報の伝わりやすさが変化する。
  • こうして脳の神経伝達物質や成長因子の合成能力が減退すると、気分・睡眠・スタミナ・集中・認知などの高次の脳機能を損なう神経障害が引き起こされる。
  • いったん脳内のミクログリアが過剰に活性化されると、ミクログリアの振る舞いを決めている遺伝子に長期にわたって変化が引き起こされ、その結果、ミクログリアは超警戒態勢になるようにプログラムしなおされる。
  • その後は、わずかな刺激でシナプスを過剰に刈り込んだり、有害な振る舞いを起こしたりしがちになり、悪玉化したミクログリアは、脅威が過ぎ去っても、シナプス結合の刈り込みをやめない。
  • 悪玉ミクログリアは、ストレス因子や病原体がなくなっても、炎症性の物質を吐き出し続け、シナプスの破壊を続け、神経の炎症が自己増殖する暴走プロセスとなる。
  • このプロセスは脳における変化とみることができ、それはもとの炎症プロセスの後、何年も続き、幼い頃に脳内のミクログリアの振る舞いに影響を及ぼした何かが、思春期になって気分障害・不安障害・解離性障害、統合失調症などとして現れるかもしれないし、高齢になってからアルツハイマー病として現れるかもしれないのである。

自律神経科学の幕開け

  •  私は神経内科時代、自律神経学会にも所属し、自律神経疾患も診ていたが、黒岩・平井らの臨床研究は、基礎と臨床の両面から新たな科学的アプローチを提案し、自律神経科学に新たなページを切り開いた。
  • 自律神経科学はストレス反応の科学であり、神経系、内分泌系、免疫系、循環系など生体のさまざまな自動調節機構(恒常性維持機構)をすべて包含した総合的な科学である。
  • 「過敏性」の解明には、このような多角的で全体的な視点が必要であり、黒岩らの研究は、視床下部と脳室周囲臓器を司令塔とする恒常性維持機構(視床下部-自律神経系)に目を向けさせてくれた。
  • そこは、内部環境のホメオスタシスを制御しており、すべての生物の目標は、その内部環境内の条件を完全に維持することであり、外部および内部の環境ストレスにさらされたときの、「ストレス入力系の過敏性」と「ストレス出力系の持久力」を制御しているのだという。

過敏性の発生メカニズム

  • さまざまな外部あるいは内部の環境ストレス曝露に対して、身体は「過敏症」(環境ストレスに対する入力系の過敏症)あるいは「不耐症」(環境ストレスに対する出力系の不充分)を示すことがある。
  • 環境ストレス過敏症と環境ストレス不耐症は、対立する概念ではなく、表から見ても裏から見ても同じ状態であり、ともにストレス不耐症と疲弊状態に基づくのだという。
  • この恒常性維持機構が乱れると、自律神経症状、情動・認知症状、疼痛・感覚症状など、重層的な症状を引き起こすというわけである。
  • 黒岩・平井らは「過敏性」の発現メカニズムには、「遺伝的要因」「発症要因」「誘因要因」の3つの段階があるという仮説を立てている。
  • まずは先天的に決定された遺伝的要因が関与する遺伝的段階、次に環境起因事象に初めて曝露され、環境ストレス過敏症(環境ストレス不耐性)の体質を獲得する発病段階、さらに日常の低レベルの環境ストレスでも過剰なストレス感受性やストレス不耐性を示す全身疾患を持つ誘因段階である。
  • 最初は、何らかの感染・環境毒素・外傷・虐待・慢性的なストレスなど、身体の内外環境からの小さなストレス刺激にすぎず脳はこれになんとか対処して恒常性維持機構を保ってきた。でも、それらが重なり年月が経つと恒常性維持機能が破綻し、突然に非常事態が訪れるのだ。

身体の疲労と脳の疲労

  •  過敏症のメカニズムが少しは理解できたら、「どう治療していけばよいか」が問われる。
  • 生まれ持った「遺伝素因(ストレス脆弱性)」と胎児期からの「環境要因(ストレス負荷)」と恒常性を破壊する「誘因要因(ストレス過剰)」により、脳に免疫性の慢性炎症を生じ交感神経系が高ぶった状態になっている。
  • ならば副交感神経系を強化して自律神経の動的平衡や恒常性を高めればよい。
  • ポージェス博士の研究により副交感神経には横隔膜より上の臓器を支配する「腹側迷走神経系」と横隔膜より下の臓器を支配する「背側迷走神経系」の2種類の性質の異なる迷走神経系があることが知られている。
  • 腹側系は、他人や自分、自然や智恵との「つながり」「ふれあい」、背側系は食物や飲物、休憩や運動などを「ゆっくり」「ゆったり」行うことで刺激され活性化する。
  • 「脳の疲労」を取るには、休めば改善する急性の「体の疲労」と、休んでも改善しない慢性の「脳の疲労」は区別して考える必要がある。
  • 外部や内部からくる脳への過度の刺激を制限し、適度の運動や刺激でカラダを温めたり緩めたりすること、食事内容に注意して腸を整え、カラダの細胞に必要な栄養素をとることが必要となる。過敏症対策には、①ブロック(遮断)、②デトックス(浄化)、③エンパワメント(栄養)が必要である。

自我の抑制を取り去る

  • そう理解しても、現実には思い切った生活環境や生活習慣の改善や修正を行えない人が圧倒的だ。
  • それまでの仕事や学校、習慣や人間関係を思い切ってやめるには、これまでの常識や世間体、思考癖や体験記憶を捨てて、自分が心から「やりたいこと」や「やりたかったこと」を、思いっきりやってみることである。
  • 物事がうまくいかないのは、無意識や潜在意識が望んでいることを、自己保存を目的に作られた自我(思い込みやとらわれ)が蓋をして抑制しているためだ。
  • その抑制が取ることができるのは、「自分のことを尊重してくれ」「自分のことを安心して話せ」「失敗しても許され」「この人は味方だと思える」仲間に囲まれている時である。
  • そんな中でこそ、仲間も自分も信じて、自我の抑制をはずし、自分の潜在的な可能性を引き出すことができる。それができたら、次は、「こうなりたい」と思う尊敬できる人を目標に、自分の現実の能力を高めていくことである。
  • その時、「自分らしさ」は自分の外部にはなく内部にあるのだが、「なにが好き」で、「どうなりたい」かは、実は自分の内部の意識できないところから発しているのである。